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エリジウム
2014/01/01(Wed)
低予算ながら「地球に辿りついた高い知能を持つ異星人が、その見た目から苛烈な『人種』差別を受ける」という、今までにない新たな「宇宙人襲来物」を描いた「第9地区」の監督が、今度は大物俳優をこれでもかと投入して作成した格差SF。
22世紀、地球にはまさしく「上下」社会ができていた。
大気が汚染され、人口爆発によって人々を養いきれなくなった地球は荒廃し、病み疲れてしまったのだ。

そんな地球を富裕層はあっさりと見限り、軌道上に作り上げた楽園・エリジウムに移住して暮らしていた。
そこには清廉な空気と水、溢れる食物があるけれど、何より素晴らしいのは恐るべき発達を遂げた「医療」だった。
医療カプセルに入ることで、人びとはどんな疾病も怪我も一瞬で治癒してしまう。
エリジウムはまさに、「死」すら恐れる事のない永遠のユートピアとなっていた。

その一方、地上に取り残された人々は飢えや病、怪我に苦しみ、空を見上げてため息をつき、地面にひれ伏して絶望の生活を送っていた。
養護施設で育った孤児のマックスもその1人。
文字を教えてくれた孤児仲間のフレイと交わした、「いつかエリジウムに連れて行ってあげる」という約束を守るため、盗みを繰り返すマックス。
けれど優しい院長先生は彼を頭ごなしに叱るのではなく、自分たちが生きるこの汚れてしまった地球も、宇宙から見れば美しい惑星であると優しく諭すのだった…

ブサイク・インテリのマット・デイモン、メンサ会員のジョディ・フォスターなどの有名どころを投入する一方、「第9地区」の主人公がとんでもなくゲスい殺人者に扮してたりして小ネタにも事欠かなかったけど、なんとなく似たような設定だと思ったのがまさしく「TIME」
しかもこれもまた「『ガタカ』が面白かったから」と監督の手腕に期待した動機まで似ている。

つまらなかったわけじゃない。普通のディストピアものとしては全く問題ないレベル。
ただやっぱりね。あの「第9地区」と比べちゃうとね。まぁ比べ物にはならないかなって思う。
逆に比べ物にならないほどの人材や資金を投入してることもわかるんだけどね。

腕のいいクラッカーであり、かつ武闘集団を率いるスパイダーが送り込んだ移民シャトルと、エリジウムの防衛長官であるデラコート長官がクルーガーを利用して迎撃するシーンは手に汗握ったし、マックスがこの映画の宣伝文句だった「5日間の命」という運命に陥る理不尽さは、きっとこれまでの人類史の中でも実際知識のない労働者が蒙ってきた悲劇なんだろうなぁと思わせる。
このあたりの「社会派っぽいけど説教臭くない」緩急つけた演出はやっぱりうまいなぁと思う。

放射線によって蝕まれたマックスはまるで犬の餌のように薬を渡され、死を待つばかりの身になってしまった。そんな彼をスパイダーは歓迎し、取引を申し込む。
エリジウムから来ている要人を誘拐し、その頭にあるデータをそっくりいただこうと言うのだ。
成功すればマックスはエリジウムへのチケットを手に入れ、体を完治させる事も可能になる。

まずはそのデータを受け取るための電脳手術を受けるんだけど、これがまた荒っぽ過ぎて笑った。
言うなれば世紀末救世主伝説に出てくるヒャッハァーな方々に、やけにアナログな電ノコやらドリルやらネジを使い、超高度なサイバー手術を施されるようなものなので。
その「ついでに」装着されて神経接続されたエクソ・スーツもなんかえらい中途半端過ぎだよ!体からちょっと浮いてる感がハンパなく中途半端だよ!
つーかさ、あれ、感電せずにシャワー浴びられるんかなぁ…無理そう

狙ったのはマックスの雇い主でもある資産家ジョン・カーライル。
ところが時を同じくしてエリジウムの「平和」を守っていると自負しているデラコートが、自分を批判した上層部に反旗を翻そうとカーライルを抱きこんでいたからややこしい事態になってしまう。

なぜならマックスが相棒のフリオ(ただのチンピラかと思ったらすげーいいヤツだったので驚いた)を失ってまで手に入れたカーライルの情報は、エリジウムのシステムそのものを書き換える事ができる重大な極秘データだったからだ。
カーライルが死んでデータが盗まれたと知ったデラコートは再びクルーガーを投入し、マックスを追わせる。

地上で小汚い生活をしていたクルーガーが次々と最新メカを繰り出し、テクノロジーを駆使してマックスを追い詰めていくのは小気味いい…というよりは「バカに刃物を持たせたらいかんなぁ」とつくづく思わせるわ。

深手を負ったマックスが辿り着いたのは白血病の娘を抱えたフレイの元だった。
娘は既に手の施しようがなく、エリジウムに行くしか治せる見込みがない。
けれど今は追われる身のマックスには何もしてやれず、彼は2人を置いて去っていく。
マチルダが語った「ミーアキャットとカバ」の話を胸に刻んで。

このあたりまで結構まったりと進んできたけど、フレイとマチルダをさらったクルーガーがデラコートがなぜそんなにデータを必死に取り返せと言うか気づいてからは急に加速した。というか、急過ぎてびっくりした。
こいつの顔がド派手に吹っ飛ばされたのには驚いたけど、カプセルに入ったら見る見るうちに治ったので、逆に「あれで死なないってどんだけ頑丈なんだ」と感心した。
こんなすごい世界(エリジウム)を知りながらも、嬉々として地上のスラムで暮らしてるんだからやっぱり変なヤツだ。(ターンAのロランとかもそうなんだけど。)
何しろ復活したクルーガーは文句を言いに来たデラコートの首を掻っ切ってしまうのだ。

えええええ!?

あんなに悪役ヅラして非情に徹してきた彼女がこれで死んじゃうの?
あっけなさ過ぎてびっくりだよ。諦め早過ぎだよ長官!
そしてラストは当然クルーガーVSマックスのガチバトルだったけど、どうせなら「実は長官は半サイボーグでした」なんて設定で、ラストはメカ・フォスター大暴れなんて方が笑えたよ。

密入国してきたスパイダーは、マックスのデータを使えば地球の全住民がエリジウムの特権を行使できるようになると言う。
けれど、データをダウンロードした瞬間、マックスは死ぬ。
それは復活のない死なのだ。
柄にもなく躊躇するスパイダーに、おまえができないなら自分でやるとスイッチを受け取るマックス。

今まさに医療ポッドの中にいるマチルダのため、娘の回復を願うフレイのため、小さなミーアキャットを助けたカバの気持ちを理解したマックスは、かつてシスターが語った美しい地球を想いながら、静かにボタンを押すのだった…

う~ん…悪くはないんだけどねぇ…

実は機内上映で見たのだけど、ホントは「キック・アス2」が見たかったのに日本語吹替も字幕もなかったから仕方なくこれにしたんだけど…もうちょっと期待を裏切ってくれてもよかったよ?

まるで小さな箱庭みたいなエリジウムの様子は面白かった。
けどホント、まんま「TIME」っぽい。
特権階級には死がないとか、どんよりしたスラムや過酷な労働を強いる工場の様子とかもどことなく似てる。
でも命を賭けて変革を起こすという予定調和、かつ少し苦い終わり方は、同じ社会の変革でも終始力押し(強盗)だった「TIME」よりはまだよかった…かな?
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